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令嬢は元暗殺者に恋をする
第64章 報復 -5-
 厳しい表情をするハルを見たファルクは、慌てて言いつくろう。

「何故探しているのかと聞かれても、そこまでは私も知らないよ。本当だよ。だが……」

 話に食いついてきたのなら、後はひたすら相手が落ちるまで口説くのみと考えたのだろうファルクは、息をつくのも惜しいとばかりにさらに言葉を継ぐ。

「ここだけの話だ」

 おまえにだけは教えてやろうと、ファルクはわずかに身を乗り出してくる。

「今からそう……三年前のことだ。おまえは当然知らないだろうが、女王陛下はレザンの何かを探るため、学者たちを学問所に集めた。だが、研究にたずさわった学者たちすべてが何者かによって殺害され、さらに、レザンに関する資料も焼かれ、失ってしまった。さらに、内密に何人かの人間を北の大陸へと送り出したが、誰ひとり戻ってくる者はいない。だが、それでも女王陛下はレザンに対する興味をいまだ失ってはいない。だから、きっとレザンの人間であるおまえを、女王陛下も特別目にかけてくれるはず。いまだ謎の多い大陸、レザン。彼の地のことなら、どんな些細なことでも女王陛下は知りたいとお思いになるだろう」

 ここだけの話としたり顔で語るファルクの目の前にいる人物こそ、三年前、レザンのことを探ろうとした学者全員を抹殺し、資料を焼いた本人だとは、よもやファルクも思っていないだろう。

 知るよしもないことだ。

 それに、秘密ごとを打ち明けるように語るファルクの内容は、学問所にいた人間、またそこにいた者から聞いたのなら、誰でも知っている表面上だけのもの。
 特に、特別な情報をつかんでいるというわけでもなさそうであるし、たとえ、そうであったとしても、とうに組織を抜けた自分にとって、そんなことはどうでもいいこと。

 それにしても、これ以上、レザンの秘密を探ればどうなるかと、警告を促したつもりであったが、それを警告と受け止められていないのなら、女王(イザーラ)はいつかレザンの暗殺者に命を狙われることとなるだろう。

 自業自得だ。
 もともと、王となったダルバスを退け、なかば強引に玉座を奪い取り、この国を支配する偽りの女王だ。
 たとえ殺されたとしても、この国にとっても、民たちにとっても、何ら支障をきたすことはない。

 何故なら。真の女王となるべき、正当な人物がいるのだから。
 ハルは握りしめていた真紅の飾り紐から手を離す。
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