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令嬢は元暗殺者に恋をする
第66章 報復 -7-
「違う。断じて違うぞ。この私が、あんな餓鬼ごときにやられるわけがないではないか!」

 ならば、この状況はいったい? と男たちは揃って不思議そうに首を傾げる。

「あの餓鬼が卑劣な手を使って……そう、私の持っていた毒を奪い、無理矢理私に飲ませて殺そうとしたのだ。まるで、悪魔の所行。そう、あいつは人間ではない悪魔だ!」

 ハルはやれやれと肩をすくめた。
 己の体面を保とうとしたとはいえ、咄嗟に言いつくろうにしても、もっとましな言いわけを思いつくことはできなかったのか。

「どく……ですか?」

 何やら聞いてはいけないことを聞いてしまったとでもいうように、毒と繰り返すその男と目が合ったファルクは、はっとなって顔を引きつらせる。

「そ、そうではない。何を勘違いしている。私は毒など知らない。私が持っていたわけではない」

「ですが……」

 たった今、私の持っていた毒を云々、とおっしゃったでは……と、男はもごもごと口ごもる。

「ええい、黙れ黙れ! そんなことはどうでもいいのだ。雇われの分際でいちいち細かいことを詮索してくるな。おまえたちはただ、私の命令に従えばいいのだ。ああーっ!」

 言っていることが支離滅裂なうえ、とうとう逆に切れてしまった。

 最後の悲鳴はまたしても指が折れていたことを忘れ、手を激しく床に叩きつけたからだ。

「ふ……ははっ! 何にしてもこれはまさに、形勢逆転というやつだな。やはり、私は運がいい。神は最後の最後にこの私に味方をしてくれた」

 助けが現れたことによって気持ちに余裕を取り戻したのか、ファルクはお得意の芝居がかった仕草で両手を大きく広げた。
 それにしても、これだけの目にあわされながらも、運がいいと言えるこの男のめでたさにハルは失笑する。

「そのようだな」

「そうだとも」

「だが、これを救いだと思うのなら、次に味わう絶望はより深いぞ」

「は、何とでも言え。この私にさんざんな真似をしやがって、ただで済むと思うな。このくそ餓鬼が!」

 これだけの人数の男たちを相手に、さすがのおまえも、どうすることもできないだろうと、ファルクは勝ちを得たように高笑いを上げ、ハルに向かって真っ直ぐに指を突きつけた。
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