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令嬢は元暗殺者に恋をする
第67章 報復 -8-
「無理だ……」

 最初にハルに斬りかかろうとした男は剣を引き、両手をあげ戦う意志がないことを示す。
 他の男たちも同様であった。

「おまえらどういうつもりだ!」

「ファルク様は気づかないのですか」

「気づかないだと? 何がだ!」

「この男の放つ殺気を!」

「こいつ、かなりやばい……」

「俺たちでかなう相手じゃない!」

 ファルクには気づくことのできなかったハルの身から放たれる気を、護衛の男たちは察した。
 戦いに慣れているからこそ、相手の実力を見極めることができたのだろう。
 自分たちではかなわないと。

 褒美につられて命を失ってしまっては意味がない。
 たとえ、この屋敷をクビになり働き口を失ったとしても、生きていればどうとでもなる。

 ハルは抜きかけた剣を鞘におさめ薄く嗤う。

「三日後」

「三日後?」

「カーナの森で貴様の企みを潰し、貴様が雇ったアイザカーンの暗殺者二十人、ひとり残らず俺がこの手で始末する」

 ファルクがぽかんと口を開け、間抜けな顔をする。
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