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令嬢は元暗殺者に恋をする
第68章 出会った場所で
 ここでサラと出会った。そして、ここが別れの場所。
 まつげを震わせ、再び目を開く。

 サラ、お別れだ。
 次に会うときが最後。
 二度と会うことはない。

 サラの未来に影を落とそうとするすべての根源を取りのぞき、同時に俺を好きだと思ってくれるサラの気持ちも断ち切る。

 彼女を守る為に身をひくという選択もありだ。
 と、そう自分の心に言い聞かせた。

 自分と一緒にいれば組織に存在がばれてしまったとき、サラを確実に巻き込む。
 それでも、危険を承知でサラは俺とともにいたいと言ってくれた。そして、どんなことがあろうと、サラを命がけで守ると決心した。
 しかし、それは組織にばれない可能性もある、ということが心のどこかにあったから。

 アイザカーンの組織二十人を手にかければ、いずれ、間違いなくレザンの組織の耳に届いてしまう。
 組織の情報網をもってすれば、誰の仕業かなどすぐに知れてしまう。
 これまでばれずにのうのうと生きてこられたのが奇跡なのだ。

 組織の追跡を逃れながらの生活は過酷なものとなる。
 おそらく、サラには耐えられないだろう。

 ハルが思うほど私は弱くはない、とサラは言うかもしれない。
 けれど、本当はそんな生やさしいものではないのだ。
 捕らえられてしまえば自分もサラも、どういう運命が待ち構えているか想像に難くない。
 組織に己の居所を知られるとわかっていて、サラとは一緒にはいられない。

 もう、側にはいられないけれど。
 サラの望みも、俺の願いも叶えることはできなかったけれど。
 俺の気持ちは変わらない。
 ずっと、サラのことだけを思い続けているから。



 ずっと──。
 愛しているよ、サラ。
 指に絡んだリボンを握りしめ、ハルはゆらりと立ち上がった。





 そして、これがサラのためにしてあげることのできる。
 俺の戦いだ。
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