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令嬢は元暗殺者に恋をする
第77章 戦い -3-
子ども……。
飛び込んできたその人影は、自分の胸のあたりまでしか背丈がなく、ずいぶんと小さい。
だが、子どもとはいえ暗殺者。
敵であることにかわりはない。
刃を向けてくるのならたとえ子どもでも容赦はしない。
右にくると見せかけて左からの攻撃を、ハルは相手の動きを読んで身体を傾けひらりとかわす。
敵の剣が空振り虚空を切る。
前のめりになりかけつつも、すぐに体勢を立て直し身がまえる。
素早い動きだ。
悪くはない。
「くそ!」
敵の口からもれる悔しげな声。
その声はまだ声変わりする前のものであった。
「やられてたまるか!」
勇ましいその言葉は、己を奮い立たせるためか、あるいは自棄となったためか。
あきらめたら死。
生へと繋げるために振るう剣とその目は、大人たち以上に必死で真に迫るものがあった。
間を置かず、一歩踏み込んで低い体勢から振り上げてくる剣。
刹那、左腕に走った鋭い痛みにハルは眉根を寄せる。
不覚にも敵の攻撃を懐に飛び込ませてしまった。
相手が子どもであったことに驚いたのは事実だが、決して油断したわけでも侮ったつもりもない。
辺りに響く剣と剣がぶつかりあう音。
次の瞬間、敵の武器が空を舞い地面に落ちる。
「……っ!」
すかさず手を伸ばし拾いあげようとするその剣を足で払って遠ざける。
落とした武器をあきらめ、相手は咄嗟に後方へと退こうとする。
そこへ、すかさず足払いを食らわせた。
均衡を崩して背中から倒れるが、身体のばねを使って素早い身のこなしで飛び起きる敵のみぞおちに容赦のない蹴りを放つ。
相手の身体が数歩先に飛ぶ。
蹴られた箇所を手で押さえ身体を折って喘ぐその喉元に、ハルはぴたりと剣の切っ先を突きつけた。
飛び込んできたその人影は、自分の胸のあたりまでしか背丈がなく、ずいぶんと小さい。
だが、子どもとはいえ暗殺者。
敵であることにかわりはない。
刃を向けてくるのならたとえ子どもでも容赦はしない。
右にくると見せかけて左からの攻撃を、ハルは相手の動きを読んで身体を傾けひらりとかわす。
敵の剣が空振り虚空を切る。
前のめりになりかけつつも、すぐに体勢を立て直し身がまえる。
素早い動きだ。
悪くはない。
「くそ!」
敵の口からもれる悔しげな声。
その声はまだ声変わりする前のものであった。
「やられてたまるか!」
勇ましいその言葉は、己を奮い立たせるためか、あるいは自棄となったためか。
あきらめたら死。
生へと繋げるために振るう剣とその目は、大人たち以上に必死で真に迫るものがあった。
間を置かず、一歩踏み込んで低い体勢から振り上げてくる剣。
刹那、左腕に走った鋭い痛みにハルは眉根を寄せる。
不覚にも敵の攻撃を懐に飛び込ませてしまった。
相手が子どもであったことに驚いたのは事実だが、決して油断したわけでも侮ったつもりもない。
辺りに響く剣と剣がぶつかりあう音。
次の瞬間、敵の武器が空を舞い地面に落ちる。
「……っ!」
すかさず手を伸ばし拾いあげようとするその剣を足で払って遠ざける。
落とした武器をあきらめ、相手は咄嗟に後方へと退こうとする。
そこへ、すかさず足払いを食らわせた。
均衡を崩して背中から倒れるが、身体のばねを使って素早い身のこなしで飛び起きる敵のみぞおちに容赦のない蹴りを放つ。
相手の身体が数歩先に飛ぶ。
蹴られた箇所を手で押さえ身体を折って喘ぐその喉元に、ハルはぴたりと剣の切っ先を突きつけた。

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