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令嬢は元暗殺者に恋をする
第77章 戦い -3-
「でも、俺のこと、殺すんだろ?」
「そうだな」
殺されるのにそんなこと言われても、慰めにもならないよ、と弱々しい声で少年は呟く。
「なあ、ひとつ聞いてもいいか?」
「何だ?」
「あんた本当にレザンの暗殺者、なのか?」
「組織から抜けたから、元だ」
ためらうことなく、ハルは少年に真実を伝える。
どうせ殺すのだ。
正体を明かしたところで何も問題はない。
「そっか……元でもやっぱりそうだったんだ」
と、少年は声を落とす。
「俺、こんなに強い人、初めて見たよ。俺がいた組織にだってあんたみたいに強い奴はいなかった。だって、たったわずかな時間でこれだけの大人をあっさりやってしまうんだからね……それに、レザンの暗殺者は見た目もいいっていう噂も本当なんだね」
少年はあきらめたように肩の力を抜きうつむく。
「別に思い残すことなんて何にもないし、好きでこんなことしてたわけじゃない……だから、もういいよ。殺せよ。早く殺せ!」
覚悟を決め、少年は握りしめた手を膝に置き堅く目をつむる。
その手は震えていた。
哀れだと思う気持ちもある。
けれど、生かすわけにはいかない。
生かしてこの少年が自分のことを誰かに話してしまったら、それがレザンの組織の耳に入ってしまえば、あるいは、この事件を知った組織が、この場にただひとり生き残った少年の存在に気づき、捕らえ問いつめたら。
不安要素となるべきものはすべて断ち切らなければならない。
迷いはない。
今までもそうしてきた。
少年の喉元から剣先を離す。
少年はびくりと肩を跳ね、肩をすぼめた。
「頼むからひとおもいに……」
そこへ──。
視界の端にサラが身じろいだのが映った。
やはり……と、ハルは苦い笑いを口許に刻む。
敵とはいえ、相手はまだ子ども。
この状況を目の当たりにして、サラが黙っているはずがなかった。
「そうだな」
殺されるのにそんなこと言われても、慰めにもならないよ、と弱々しい声で少年は呟く。
「なあ、ひとつ聞いてもいいか?」
「何だ?」
「あんた本当にレザンの暗殺者、なのか?」
「組織から抜けたから、元だ」
ためらうことなく、ハルは少年に真実を伝える。
どうせ殺すのだ。
正体を明かしたところで何も問題はない。
「そっか……元でもやっぱりそうだったんだ」
と、少年は声を落とす。
「俺、こんなに強い人、初めて見たよ。俺がいた組織にだってあんたみたいに強い奴はいなかった。だって、たったわずかな時間でこれだけの大人をあっさりやってしまうんだからね……それに、レザンの暗殺者は見た目もいいっていう噂も本当なんだね」
少年はあきらめたように肩の力を抜きうつむく。
「別に思い残すことなんて何にもないし、好きでこんなことしてたわけじゃない……だから、もういいよ。殺せよ。早く殺せ!」
覚悟を決め、少年は握りしめた手を膝に置き堅く目をつむる。
その手は震えていた。
哀れだと思う気持ちもある。
けれど、生かすわけにはいかない。
生かしてこの少年が自分のことを誰かに話してしまったら、それがレザンの組織の耳に入ってしまえば、あるいは、この事件を知った組織が、この場にただひとり生き残った少年の存在に気づき、捕らえ問いつめたら。
不安要素となるべきものはすべて断ち切らなければならない。
迷いはない。
今までもそうしてきた。
少年の喉元から剣先を離す。
少年はびくりと肩を跳ね、肩をすぼめた。
「頼むからひとおもいに……」
そこへ──。
視界の端にサラが身じろいだのが映った。
やはり……と、ハルは苦い笑いを口許に刻む。
敵とはいえ、相手はまだ子ども。
この状況を目の当たりにして、サラが黙っているはずがなかった。

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