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令嬢は元暗殺者に恋をする
第7章 ハルの真意
 二人は沈んだ様子で、診療所の椅子に互いに向かい合って腰をかけていた。

 時刻はすでに夕刻。
 落ちかける陽の残照が、閉ざされたカーテンの隙間からもれ入り、光の筋となって薄暗い部屋を照らしていた。
 表では夕暮れ時特有の物騒がしさが飛び交っていた。

 行き交う通行人の人影が、影絵のようにカーテンに映し出されていく。

「僕はあいつに酷いことを言ってしまった」

「私、おもいっきり頬を叩いてしまったわ」

 ハルは決して悪い人ではないと、そう思っていながら、どうしてあんなことをしたのか理由も聞かず、ひどいことをしたと決めつけ頬を叩いてしまった。

 最低なのは自分の方ではないか。

 どうしよう、とサラは自分の右の手のひらをじっと見つめた。

 二人の口からいくど目かの深いため息がもれた時、おもむろに診療所の扉が開きベゼレートがにこやかな笑顔で姿を現した。

「おやおや、どうしたのです? 二人とも元気のない顔をして」

 先生……と情けない声を上げ、テオとサラは立ち上がった。

 ふと、ベゼレートの背後に、うさぎを抱えた五、六歳の少年の姿を確認し、二人は顔を見合わせ訝しむ。

「先生、その子は?」

「そうそう。どうしてもテオに会わせたいと思って、親御さんに無理をお願いして連れてきたのですよ。私もこの子に出会えたのは全くの偶然なのですけれどね。それに、この子のうさぎの怪我も見てあげようと」

 いつになく嬉しそうな声でベゼレートは、さあ、と少年を診療所に招き入れ手近な椅子に座らせた。

「あの……じゃあ、私何か飲み物を持ってくるわ」

「い、いや」

 咄嗟にサラを手で制し、テオは僕がやるから、と立ち上がってすぐさま厨房に向かう。
 サラが作ったものはたとえ飲み物といえども、何を出されるかわかったものではないと思ったからだ。
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