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令嬢は元暗殺者に恋をする
第7章 ハルの真意
 ほどなくして、蜂蜜入りの温かいミルクをのせた盆を手に、テオが現れた。

「熱いから気をつけて」

 注意をうながし少年にカップを手渡す。

 小さな手を差し出し、少年は満面の笑みでありがとうと礼を言ってカップを受け取る。

 礼儀正しい素直な子どもだ。
 少年はふうふうとカップに息を吹きかけ、ミルクを一口、口に含んだ。

「おいしい!」

 にこりと笑う少年につられテオも微笑む。

「さあ、ぼく。さっき私に話したことを、このお兄ちゃんにも、もう一度聞かせてあげてくれるかな」

 にこやかな笑みを浮かべるベゼレートに、少年はうんと、大きくうなずいた。

 少年の話が始まった。

「あのね、ぼくとお母さんとでメイルのお祭りを見に行く途中だったんだ。カーナの森を馬車で通っていたときにね、ぼくの不注意で、ひざに抱っこしていたうさぎが森に逃げたんだ。ぼく、お母さんが止めるのも聞かずに、あわててうさぎを追いかけたの。うさぎはすぐに見つかったんだけど、足をけがしちゃって。でもね、そのとき、通りかかったお兄ちゃんが、よくきく薬草をみつけてきてくれて、うさぎの手当をしてくれたんだ。とってもてぎわよかったよ」

 テオはすぐにベゼレートを大きく振り返る。
 ベゼレートはゆっくりとうなずいた。

 一方、サラはじっと少年の言葉に耳を傾けている。

 メイルのお祭り。
 カーナの森。
 それって!
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