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令嬢は元暗殺者に恋をする
第79章 戦い -5-
「よくないわ! どうしてあきらめるの?」
「あきらめるしかないよ。もう……」
「あきらめたらだめ! 私がハルを引き止めるから」
そう言ってサラはハルが動けないようにと、ぎゅっとしがみつく。
「だから、あなたは逃げなさい。今のうちだわ。早く!」
「無理だよ。それができるのならとっくにそうしてるよ。お姉さんは俺たちのいる世界のことを何も知らないからそんな簡単なことが言えるんだ」
「確かに、あなたやハルのいた世界のことは私にはわからない。でも……」
少年は何やら考え込むように唇をひき結ぶ。
そして。
「そうだよな」
「そうよ。わかったのなら早く行って!」
「ここで、女に庇われて逃げ出すのは男じゃないよな」
「そうよ! ……え?」
二人の会話は、すべてハルが互いの国の言葉に置き換えてなされている。
「そもそも、あんたが悪いんだ! あんたが俺をひと思いに殺さないから」
「殺されたかったのか?」
少年はうっと声をつまらせ、そういうわけじゃないけど、と口ごもる。
「それよりも、今のその口ぶりだと、まるで俺を生かしてくれるような言い方だよな。あんた、ほんとに性格悪いよ。そうやって期待をもたせておきながら、結局、最後の最後にどん底に突き落として楽しむってやつだろ! 嫌なやつ!」
「どうしたの? この子顔を真っ赤にして何を言ってるの? ハルもどうして笑っているの? ねえ」
「あきらめるしかないよ。もう……」
「あきらめたらだめ! 私がハルを引き止めるから」
そう言ってサラはハルが動けないようにと、ぎゅっとしがみつく。
「だから、あなたは逃げなさい。今のうちだわ。早く!」
「無理だよ。それができるのならとっくにそうしてるよ。お姉さんは俺たちのいる世界のことを何も知らないからそんな簡単なことが言えるんだ」
「確かに、あなたやハルのいた世界のことは私にはわからない。でも……」
少年は何やら考え込むように唇をひき結ぶ。
そして。
「そうだよな」
「そうよ。わかったのなら早く行って!」
「ここで、女に庇われて逃げ出すのは男じゃないよな」
「そうよ! ……え?」
二人の会話は、すべてハルが互いの国の言葉に置き換えてなされている。
「そもそも、あんたが悪いんだ! あんたが俺をひと思いに殺さないから」
「殺されたかったのか?」
少年はうっと声をつまらせ、そういうわけじゃないけど、と口ごもる。
「それよりも、今のその口ぶりだと、まるで俺を生かしてくれるような言い方だよな。あんた、ほんとに性格悪いよ。そうやって期待をもたせておきながら、結局、最後の最後にどん底に突き落として楽しむってやつだろ! 嫌なやつ!」
「どうしたの? この子顔を真っ赤にして何を言ってるの? ハルもどうして笑っているの? ねえ」

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