この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
令嬢は元暗殺者に恋をする
第79章 戦い -5-
 先ほどまでの張りつめたような緊迫感はどこへいったのか、何やら少年とハルとの間におかしな空気が流れ始めた。

「だから、こんな風に話がこじれて、お姉さんまで泣かせてしまうことになったんだ。女を泣かせるなんて最低だよ! 俺なら好きな女、絶対に泣かせたりしない!」

 やがて、何かを決心したように少年は勢いよく立ち上がる。
 きつく手を握りしめ、気丈にもこちらを睨み返す。

「俺ともう一度戦え!」

 何を決意して言い出すのかと思えば、ずいぶんと突拍子もないことを口にし出した。

「おまえと戦う?」

「笑うな! 俺なんか相手にならないって言いたいんだろ? わかってるよ!」

「そんなことは一言も言っていないよ」

「言ってなくても、そう顔に書いてあるんだよ! 嫌みなやつだな」

「おまえが勝手にそう思い込んでいるだけではないのか?」

「な、何なんだよ……いちいち、ああ言えばこう言う!」

 少年はだんと足を踏みならした。

「とにかく俺と戦え! あんたを殺すつもりで戦えば俺は敵だ。お姉さんが俺をかばう理由はなくなる。だから、その代わりお姉さんに意地悪するな。恋人なんだろ? 優しくしてやれ」

 強い眼差しでこちらを見上げる少年に、ハルはふっと笑う。
 よもや、敵であるこの少年にそんなことを言われてしまうとは。

「くそ! また笑ったな。鼻で笑ったな!」

 ふと、少年の姿が過去の自分と重なった。

 俺もこんなふうに、よくレイに生意気を言って食ってかかったことがあったな。

 と、そんなことを思い出す。
 そして、ハルは地に突き立てた剣を抜き、静かに鞘におさめた。

 俺も何を甘いことを考えているのか。
 敵に情けをかけるなど、以前だったら考えられない。

 いや、あり得ないことだった。

 え? と驚いたように揃って目を見開くサラと少年。
/835ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ