この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
令嬢は元暗殺者に恋をする
第82章 幸せを願う
「何か用か?」

 相手は一瞬驚いた顔をしたが、すぐに気まずそうに頭に手をあてる。

「いや……」

 聞き取れるか取れないかの声で呟き、シンは肩を落す。
 何か言いたげに口を開きかけたがすぐに閉じ視線を斜めに落とした。

「別に用ってわけでもないから……」

 じゃあ、と歯切れ悪い口調で言い、背を見せて歩き出そうとするシンに、テオは肩をすくめて笑う。

 いつぞやのあの不遜な態度はどこへやら、今日はずいぶんとおとなしい。
 というか、しおらしい。

「入ったらどうだ」

 テオは扉を大きく開け放ち中に入るようシンをうながした。
 迷う素振りを見せたものの断る理由も特になかったのか、いや、むしろ聞きたいことがあったのだろう、シンは素直に診療所へと足を踏み入れた。

 テオは残った後片づけに取りかかる。
 一方、シンは所在なげに立ちつくしていたが、手近にあった椅子を見つけそこに腰を降ろした。

 長い足を持て余しげに座り、落ち着かなさそうに肩をすぼめ、きょろきょろと視線をさまよわせる。
 特に会話を交わすわけでもなく、あるいは互いにどちらからか口を切るのを待っているのか、無言の時間が流れていく。
/835ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ