この作品は18歳未満閲覧禁止です

- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
令嬢は元暗殺者に恋をする
第84章 暗殺組織レザン・パリュー
アルゼシア大陸より遙か海をへだてた北方の大陸、レザン・パリュー。
一年のほとんどが雪と氷に閉ざされた、厳しくも美しい雪原の大地。
大陸のほぼ半分近くが、人の手の加わっていない山と森と湖に囲まれた大自然の地。
よく晴れた日のその美しさはまた格別で、樹氷、霧氷のきらめき、光を受けてはじく氷の柱、花のように舞う雪。
全てが幻想的な世界をかもし出していた。
なかでも大陸北部、遙か天際に望む白雪を頂いた銀雪山は、厳として人を寄せつけぬ雰囲気をもちながらも、その美しさは見る者の心を引きつけた。
まさに神聖にして侵すことのできない禁足地、といっても過言ではない。
その銀雪山のもっとも奥深く、閉ざされた地に〝姿なき者〟と呼ばれる者たちが住まう城塞がある。
堅牢な石造りの城は外からの進入を防ぐものではなく、内部から逃げだそうとする者を阻止するためのもの。
ぐるりと高い塀に囲まれた城郭には八つの門があり、それぞれの門を、組織の頂点であり絶対的権力を持つ八人の〝天〟と呼ばれる長が管理している。八つの門はまさに八人の〝天〟の象徴。
過去、組織から逃れようと脱出を試みたものの、その誰もがこの最終の砦である門の前に散ったことか。
さらに、長である天が逃亡することも考えて、それぞれの門の鍵を別々の長が持っているという厳重ぶりであった。
そして、その城の一室に八人の長が顔を揃えていた。
彼らはそれぞれに与えられた城の一角に配下を従えて暮らす。
故に、こうして組織を仕切り支配する長が顔をつきあわせることは珍しいことであった。
つまり、よほどの事態が起こったということがうかがえる。
暗殺組織の長というからには、いかつい風情の男たちを想像させるが、居並ぶ顔ぶれはみな若く、驚くほど美形揃いであった。そして、そのうちのひとりはまだ十六、七の少年である。
みなを呼び出したのは長のひとり〝炎天〟だ。
その男は残り七人が部屋に集まり席につくと、得意げな顔で切り出した。
一年のほとんどが雪と氷に閉ざされた、厳しくも美しい雪原の大地。
大陸のほぼ半分近くが、人の手の加わっていない山と森と湖に囲まれた大自然の地。
よく晴れた日のその美しさはまた格別で、樹氷、霧氷のきらめき、光を受けてはじく氷の柱、花のように舞う雪。
全てが幻想的な世界をかもし出していた。
なかでも大陸北部、遙か天際に望む白雪を頂いた銀雪山は、厳として人を寄せつけぬ雰囲気をもちながらも、その美しさは見る者の心を引きつけた。
まさに神聖にして侵すことのできない禁足地、といっても過言ではない。
その銀雪山のもっとも奥深く、閉ざされた地に〝姿なき者〟と呼ばれる者たちが住まう城塞がある。
堅牢な石造りの城は外からの進入を防ぐものではなく、内部から逃げだそうとする者を阻止するためのもの。
ぐるりと高い塀に囲まれた城郭には八つの門があり、それぞれの門を、組織の頂点であり絶対的権力を持つ八人の〝天〟と呼ばれる長が管理している。八つの門はまさに八人の〝天〟の象徴。
過去、組織から逃れようと脱出を試みたものの、その誰もがこの最終の砦である門の前に散ったことか。
さらに、長である天が逃亡することも考えて、それぞれの門の鍵を別々の長が持っているという厳重ぶりであった。
そして、その城の一室に八人の長が顔を揃えていた。
彼らはそれぞれに与えられた城の一角に配下を従えて暮らす。
故に、こうして組織を仕切り支配する長が顔をつきあわせることは珍しいことであった。
つまり、よほどの事態が起こったということがうかがえる。
暗殺組織の長というからには、いかつい風情の男たちを想像させるが、居並ぶ顔ぶれはみな若く、驚くほど美形揃いであった。そして、そのうちのひとりはまだ十六、七の少年である。
みなを呼び出したのは長のひとり〝炎天〟だ。
その男は残り七人が部屋に集まり席につくと、得意げな顔で切り出した。

作品検索
しおりをはさむ
姉妹サイトリンク 開く


