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令嬢は元暗殺者に恋をする
第84章 暗殺組織レザン・パリュー
「おもしろい情報がはいった」
炎天はもったいぶったように言葉をきり、集まった七人の顔を一人一人ゆっくりと見渡すと、最後に自分の座っている席から一番遠く離れた場所に腰をかける青年に視線を据えた。
青年はゆっくりと伏せていた顔を持ち上げた。
年の頃は二十歳過ぎ。
すらりとした長身にほっそりとした肢体。たおやかな雰囲気を持つ美形であった。
漂う緊迫した空気の中、炎天の濃い茶色の瞳と青年の翡翠色の瞳が、かちりと噛み合う。
炎天は含むような笑いを口許に刻んだ。
「とくに、おまえにとって興味深い情報だ。〝黒天〟」
そこへ。
「もったいぶらずにさっさと言いなよ。こっちはおまえのつまらない話につき合ってるほど暇じゃないんだよね」
八人の長の中では一番年下の少年が不機嫌そうな口調で言う。
彼は〝白天〟。
銀髪に石灰色の瞳を持つ少年であった。
まだ子どもといってもいい年齢だが、暗殺組織の長と選ばれるからには、それなりの実力はあるのだろう。
見た目も口調も仕草もまだ幼さを感じさせるが、少年の言動にはちらちらと危うい影がちらついていた。
炎天は一度だけ少年を一瞥したが、相手にすることはなかった。
「アルガリタの馬鹿な貴族がアイザカーンの暗殺者、二十人を雇った」
口を開いた炎天の言葉に、先ほどの少年がふーん、と興味なさそうに答える。
それが何? と言いたげな様子だ。
「が、その暗殺者のうち十九人が殺された。それも、たったひとりの奴に。殺ったのは誰だと思う?」
誰だ? と問う者は誰ひとりいない。
何故なら、誰だと聞かずとも、その場にいた全員が、それが何者かを察することができたから。
「そう、ハルだ」
炎天の目がテーブルの端に座る青年の気配を探るように見据える。
表情、目の動き、何もかもすべて、わずかな動揺も見逃さないという隙のない目であった。
炎天のねっとりと舐めるような視線など意にも介さず、青年は顔色ひとつ変えることはなかった。
炎天はもったいぶったように言葉をきり、集まった七人の顔を一人一人ゆっくりと見渡すと、最後に自分の座っている席から一番遠く離れた場所に腰をかける青年に視線を据えた。
青年はゆっくりと伏せていた顔を持ち上げた。
年の頃は二十歳過ぎ。
すらりとした長身にほっそりとした肢体。たおやかな雰囲気を持つ美形であった。
漂う緊迫した空気の中、炎天の濃い茶色の瞳と青年の翡翠色の瞳が、かちりと噛み合う。
炎天は含むような笑いを口許に刻んだ。
「とくに、おまえにとって興味深い情報だ。〝黒天〟」
そこへ。
「もったいぶらずにさっさと言いなよ。こっちはおまえのつまらない話につき合ってるほど暇じゃないんだよね」
八人の長の中では一番年下の少年が不機嫌そうな口調で言う。
彼は〝白天〟。
銀髪に石灰色の瞳を持つ少年であった。
まだ子どもといってもいい年齢だが、暗殺組織の長と選ばれるからには、それなりの実力はあるのだろう。
見た目も口調も仕草もまだ幼さを感じさせるが、少年の言動にはちらちらと危うい影がちらついていた。
炎天は一度だけ少年を一瞥したが、相手にすることはなかった。
「アルガリタの馬鹿な貴族がアイザカーンの暗殺者、二十人を雇った」
口を開いた炎天の言葉に、先ほどの少年がふーん、と興味なさそうに答える。
それが何? と言いたげな様子だ。
「が、その暗殺者のうち十九人が殺された。それも、たったひとりの奴に。殺ったのは誰だと思う?」
誰だ? と問う者は誰ひとりいない。
何故なら、誰だと聞かずとも、その場にいた全員が、それが何者かを察することができたから。
「そう、ハルだ」
炎天の目がテーブルの端に座る青年の気配を探るように見据える。
表情、目の動き、何もかもすべて、わずかな動揺も見逃さないという隙のない目であった。
炎天のねっとりと舐めるような視線など意にも介さず、青年は顔色ひとつ変えることはなかった。

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