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令嬢は元暗殺者に恋をする
第84章 暗殺組織レザン・パリュー
「うーん、でも惜しいなあ。せっかく組織から逃げ続けてきたのに、ここでばれちゃうなんて。僕にお願いしてきたら、ハルの代わりにアイザカーンの暗殺者全員、僕が始末してあげたのに。こんなことなら、ハルの行方くらいはつかんでおくべきだったかなあ」
クランツは頬を膨らませ残念そうに言う。
その口調はまるで組織から抜けたハルのことなど、探す気になればいつでも探し出すことができたのだというものであった。
「あ、でも、僕なら一人も生かさず全員殺っちゃってたけど。だけど、解せないのは、何故ハルはその貴族の男を生かしたんだろうってこと。もっとも、廃人同然となったんだから、生きているというのも微妙だけど。単純に好きな女の子を助けるためだけっていうわけじゃなさそうだね」
そこで、クランツは眉間を寄せしばしうーんと考え込む。
しかし、どんなに考えたところで答えはでないと諦めたのか、クランツは顔を上げた。そして、クランツの口から出た言葉は……。
「僕、アルガリタに行くことに決めたよ」
瞬間、わずかだがレイの翡翠色の瞳に冷たい光が過ぎる。そのことに気づいているのかいないのか、クランツは続けて言う。
「そうえいえばさっき、サラって子の名前を聞いてレイ一瞬、動揺したよね。誰も気づかなかったみたいだけど、僕はすぐわかっちゃったよ。その娘、レイの知ってる子?」
クランツの問いかけに、レイは肯定も否定もしない。
ただうっすらと、その口許に微笑みを浮かべるだけ。
しかし、クランツはレイの静かな笑みを肯定ととらえたようだ。
「そっか、レイの知り合いの子が今はハルの恋人か。何か運命的なものを感じるね。僕、サラって子に興味があるから会ってみようかな。ついでに、アイザカーンの暗殺者を雇ったその馬鹿な貴族の男を殺してくる。これ以上〝漆黒の疾風〟なんて騒がれたらハルが迷惑するだろうし」
「アルガリタの王宮に忍び込むつもりですか?」
クランツはそだよ、と何でもないことのように言ってにっこり笑ってうなずく。
「あまり、無茶なことはなさらないように」
レイが自分の身を心配をしてくれている。そう思ったクランツの表情が嬉しそうにぱあっと輝く。
クランツは頬を膨らませ残念そうに言う。
その口調はまるで組織から抜けたハルのことなど、探す気になればいつでも探し出すことができたのだというものであった。
「あ、でも、僕なら一人も生かさず全員殺っちゃってたけど。だけど、解せないのは、何故ハルはその貴族の男を生かしたんだろうってこと。もっとも、廃人同然となったんだから、生きているというのも微妙だけど。単純に好きな女の子を助けるためだけっていうわけじゃなさそうだね」
そこで、クランツは眉間を寄せしばしうーんと考え込む。
しかし、どんなに考えたところで答えはでないと諦めたのか、クランツは顔を上げた。そして、クランツの口から出た言葉は……。
「僕、アルガリタに行くことに決めたよ」
瞬間、わずかだがレイの翡翠色の瞳に冷たい光が過ぎる。そのことに気づいているのかいないのか、クランツは続けて言う。
「そうえいえばさっき、サラって子の名前を聞いてレイ一瞬、動揺したよね。誰も気づかなかったみたいだけど、僕はすぐわかっちゃったよ。その娘、レイの知ってる子?」
クランツの問いかけに、レイは肯定も否定もしない。
ただうっすらと、その口許に微笑みを浮かべるだけ。
しかし、クランツはレイの静かな笑みを肯定ととらえたようだ。
「そっか、レイの知り合いの子が今はハルの恋人か。何か運命的なものを感じるね。僕、サラって子に興味があるから会ってみようかな。ついでに、アイザカーンの暗殺者を雇ったその馬鹿な貴族の男を殺してくる。これ以上〝漆黒の疾風〟なんて騒がれたらハルが迷惑するだろうし」
「アルガリタの王宮に忍び込むつもりですか?」
クランツはそだよ、と何でもないことのように言ってにっこり笑ってうなずく。
「あまり、無茶なことはなさらないように」
レイが自分の身を心配をしてくれている。そう思ったクランツの表情が嬉しそうにぱあっと輝く。

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