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令嬢は元暗殺者に恋をする
第84章 暗殺組織レザン・パリュー
「レイが心配してくれるなんて嬉しいな。うん、安心して。アルガリタの王宮に忍び込むのも、そいつを片付けるのも難しいことじゃないけど、レイがそう言うなら無茶はしない。でも、僕のこと気遣いながら、レイ、僕を殺そうとしているね」

 あたりでしょう? と、クランツはとくに警戒をするふうでもなく小首を傾げてレイを見上げる。

 クランツの石灰色の瞳が悲しげに揺れる。

「まさか、ご冗談を」

「いいよ、隠さなくて。だって、レイすごい殺気を放ってるよ」

 と言って、クランツは手を伸ばし、レイの腰に下げられた二本の剣に手を添えた。

「さっき、僕がアルガリタに行くっていったから、レイは僕がハルをここへ連れ戻そうとしていると思っているんだよね。それで、僕を殺そうとしている」

 表情を変えることなく、レイは静かな眼差しでクランツを見下ろした。

「そして、レイは組織を抜けようとしてる。それもあたりでしょう? 心配なんだねハルが……というより、そのサラって子のことがかな? ねえ、その殺気を解いてくれないかな。僕がレイのこと大好きなの知ってるでしょう。僕はレイとは戦いたくなし、戦うつもりもない。それにハルを連れ戻そうなんてそんな考え、これっぽちもないから。ハルの好きな子にも危害を加えるつもりもないよ。本当だよ」

 ね? とクランツはどうにかレイに信じてもらおうと、必死に言いつのる。

「ねえ、ひとつ聞いてもいい? サラって子はレイにとってどういう存在なの?」

「彼女は昔……」

 サラと出会った昔のことを思い出したのか、ふと、レイの眼差しが遠くなる。

「私がアルガリタへ仕事で行った時に危ないところを助けてもらいました」

「へえ」

 まさか本当にレイが答えてくれるとは思っていなかったクランツは、驚いた顔をする。

「もう、十年も前のことです」

 そこでクランツは首を傾げた。

 十年も前ということは、サラはまだほんの小さな子ども。
 そんな幼い子がレイの危機を救ったとはどういう意味なのか。
 しかし、クランツがその疑問を口にして踏み込んでくることはなかった。

 正直にサラのことをクランツに打ち明けたレイの真意は……。
 昔の恩人である彼女に何かあったら、この私が許さないという意味が含まれていた。
 うん、とクランツは何かを決意したようにうなづく。
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