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令嬢は元暗殺者に恋をする
第84章 暗殺組織レザン・パリュー
「レイが組織を抜けるなら、僕も抜けるって決めた。レイまでいなくなっちゃうんじゃ、ここにいても意味がないからね。ねえ、一緒にアルガリタに行ってハルに会って驚かせてあげようよ」
「だめですよ」
「ええーどうして?」
クランツはぷうと頬を膨らませた。
「違う意味でハルが驚いてしまいます」
それもそうであろう。組織の長、それも二人が突然目の前に現れたら驚くのも無理はない。
いや、驚くというよりも、怯えてしまうだろう。
「じゃあ、ハルが元気でやってるかこっそり見に行くだけでもいいよね。ハルが好きになった娘も見てみたいし、ハルが助けたアイザカーンの暗殺者もどんな子か気になるし」
レイは困った人ですね、と静かに笑いようやく緊張を解く。
「安心しました」
「安心?」
「できることならあなたとは剣を交えたくはないと思っていましたから。本気であなたとやり合えば、おそらく私も無事ではなかったでしょう」
組織を抜けようとしていたことも、この少年に読まれてしまった。
そして、これからそれを実行しようとする時に、クランツと戦い痛手を負うのはかなり厳しい。
敵にはしたくない相手だ。
「やだなあレイ、それ本気で言ってるの? 組織でも一、二を争う実力の〝漆黒の双剣(つばさ)〟に僕が適うわけないじゃないか。だいいち、僕そんなつもり全然なかったし、大好きなレイに剣を向けるなんて、あるはずないよ」
突然、クランツが両手を広げ抱きついてきた。
切実な目で訴えかけるようにレイを見上げる。
「僕はレイのことだけは裏切ったりはしないよ。本当だよ。信じてくれるよね?」
その目に嘘や偽りは見られなかった。
レイは静かに笑い、うなずいた。
「だめですよ」
「ええーどうして?」
クランツはぷうと頬を膨らませた。
「違う意味でハルが驚いてしまいます」
それもそうであろう。組織の長、それも二人が突然目の前に現れたら驚くのも無理はない。
いや、驚くというよりも、怯えてしまうだろう。
「じゃあ、ハルが元気でやってるかこっそり見に行くだけでもいいよね。ハルが好きになった娘も見てみたいし、ハルが助けたアイザカーンの暗殺者もどんな子か気になるし」
レイは困った人ですね、と静かに笑いようやく緊張を解く。
「安心しました」
「安心?」
「できることならあなたとは剣を交えたくはないと思っていましたから。本気であなたとやり合えば、おそらく私も無事ではなかったでしょう」
組織を抜けようとしていたことも、この少年に読まれてしまった。
そして、これからそれを実行しようとする時に、クランツと戦い痛手を負うのはかなり厳しい。
敵にはしたくない相手だ。
「やだなあレイ、それ本気で言ってるの? 組織でも一、二を争う実力の〝漆黒の双剣(つばさ)〟に僕が適うわけないじゃないか。だいいち、僕そんなつもり全然なかったし、大好きなレイに剣を向けるなんて、あるはずないよ」
突然、クランツが両手を広げ抱きついてきた。
切実な目で訴えかけるようにレイを見上げる。
「僕はレイのことだけは裏切ったりはしないよ。本当だよ。信じてくれるよね?」
その目に嘘や偽りは見られなかった。
レイは静かに笑い、うなずいた。

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