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令嬢は元暗殺者に恋をする
第85章 それから
「おつりもちゃんと貰ったし、これで買い物は全部かな」

 アルガリタの町の市場通り。
 そろそろ夕飯時ということもあってか、通りは買い物客の主婦で賑わっていた。
 サラは買い忘れた物はないかと指をひとつひとつ折りながら確認する。

 こうして町に出て買い物をするのもだいぶ慣れたが、やはりまだ要領が悪く、家に帰ってから買い忘れに気づくこともしばしあったからだ。

「うん、大丈夫ね。たぶん。さて、早く帰って夕飯の支度をしないと」

 サラは嬉しそうにふふ、と笑った。

 今日はハルの大好きなりんごパイに挑戦しようと思っていた。

 ハル喜んでくれるかな。
 うまく作れるといいけど。

 きれいに焼き上がったりんごパイを見て、嬉しそうに食べてくれるハルのことを想像すると、胸がわくわくとした。
 二人はアルガリタの町の一角に家を借りて住んでいる。
 居間と寝室の二部屋しかない小さな家だけれど、二人で暮らすにはじゅうぶんな広さだとサラは満足している。

 てっきり、アルガリタの国を出るものだとサラは思っていたが、結局どこへ逃げても意味がないというハルの一言でこの町にとどまることになった。

 ハルと一緒ならどこへ行ってもかまわないとそのつもりでいたが、心のどこかで見知らぬ地へ行くのは不安もあったというのも事実であったため、正直ほっとしているところもあった。

 でも……ハルと一緒に暮らせる日が本当にくるなんて。
 何だか今の生活が幸せで、毎日が楽しくて充実していて。
 まだ夢を見ているのではないかと、今でも信じられないような気がして……。
 この幸せがずっと、ずっといつまでも続いてくれたなら。

 ふと、サラは立ち止まった。

 もし、この幸せが突然壊れてしまう日が来たら。
 そんなことは絶対に考えたくないことだけれど……。

 サラの表情が翳る。

 ハルと一緒に暮らすようになって、すぐのことであった。
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