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令嬢は元暗殺者に恋をする
第86章 思いがけない、つかの間の再会
キリクは両脇に垂らした手をきつく握りしめ、下を向いて唇を噛んでいた。
クランツがキリクの顔を下からのぞき込むようにして腰をかがめる。
「キリクくん、ほんとうごめんね。そんなに落ち込まないでよ。大丈夫、キリクくんはまだまだ強くなれるよ。だって、ハルに剣を教わっ……」
「クランツ」
クランツの先の言葉を遮るように青年はとどめる。
クランツは、あ、という表情で口許に手をあてた。
青年はサラたちに軽く会釈して去ろうとする。
「あの……」
サラとすれ違おうとしたその時、青年はサラの耳元に唇を寄せた。
「気をつけなさい」
「え?」
「人前でレザンの言葉をあまり使ってはいけませんよ。相手がレザンの人間ならなおさらです。彼らはどこに潜んでいるのかわからないのですから」
「彼ら?」
「いいですね? 約束してください」
流暢なアルガリタ語だ。
そして、サラはようやく目の前の相手が誰なのかを察する。
もしかしてこの人!
立ち去って行こうとする青年の袖口を、サラは待って、とつかんで引き止めた。
クランツがキリクの顔を下からのぞき込むようにして腰をかがめる。
「キリクくん、ほんとうごめんね。そんなに落ち込まないでよ。大丈夫、キリクくんはまだまだ強くなれるよ。だって、ハルに剣を教わっ……」
「クランツ」
クランツの先の言葉を遮るように青年はとどめる。
クランツは、あ、という表情で口許に手をあてた。
青年はサラたちに軽く会釈して去ろうとする。
「あの……」
サラとすれ違おうとしたその時、青年はサラの耳元に唇を寄せた。
「気をつけなさい」
「え?」
「人前でレザンの言葉をあまり使ってはいけませんよ。相手がレザンの人間ならなおさらです。彼らはどこに潜んでいるのかわからないのですから」
「彼ら?」
「いいですね? 約束してください」
流暢なアルガリタ語だ。
そして、サラはようやく目の前の相手が誰なのかを察する。
もしかしてこの人!
立ち去って行こうとする青年の袖口を、サラは待って、とつかんで引き止めた。

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