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令嬢は元暗殺者に恋をする
第86章 思いがけない、つかの間の再会
「ハルはレザンの人なの?」
にこやかに問いかける相手にキリクは口を引き結ぶ。
これ以上、余計なことを口走ってしまわないようにと。
「ま、いっか。それにしても、キリクくん、男らしいね。女の子を守ろうなんて感心感心」
クランツの右手がすっと持ち上がった。
キリクはびくりと肩を跳ねあげる。
そろりとクランツの手がキリクの目の前に伸びて……。
伸びたクランツの手が、キリクの頭をよしよしとなでた。
「……っ」
まったく動くことができなかったキリクは苦渋に顔を歪め、唇から悔しげな呻き声をもらす。
「そんなに怯えなくても僕、何もしないよ。でも、怖がらせちゃったかな? ごめんね」
クランツは可愛らしく小首を傾げた。
そして、側にいる青年に厳しい目で見られていることに気づき、ぺろっと舌をだしてえへと笑う。
「行きますよ」
「えー! 僕、もう少し二人とお話ししたいのに」
クランツはむうっと唇を尖らせた。
「クランツ」
有無を言わせぬ青年の口調に、クランツは、はあい、と答えて肩をすくめる。
心底残念という表情であった。
にこやかに問いかける相手にキリクは口を引き結ぶ。
これ以上、余計なことを口走ってしまわないようにと。
「ま、いっか。それにしても、キリクくん、男らしいね。女の子を守ろうなんて感心感心」
クランツの右手がすっと持ち上がった。
キリクはびくりと肩を跳ねあげる。
そろりとクランツの手がキリクの目の前に伸びて……。
伸びたクランツの手が、キリクの頭をよしよしとなでた。
「……っ」
まったく動くことができなかったキリクは苦渋に顔を歪め、唇から悔しげな呻き声をもらす。
「そんなに怯えなくても僕、何もしないよ。でも、怖がらせちゃったかな? ごめんね」
クランツは可愛らしく小首を傾げた。
そして、側にいる青年に厳しい目で見られていることに気づき、ぺろっと舌をだしてえへと笑う。
「行きますよ」
「えー! 僕、もう少し二人とお話ししたいのに」
クランツはむうっと唇を尖らせた。
「クランツ」
有無を言わせぬ青年の口調に、クランツは、はあい、と答えて肩をすくめる。
心底残念という表情であった。

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