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令嬢は元暗殺者に恋をする
第10章 新たな出会い
その夜、サラが原因不明の熱をだし、屋敷は騒然となった。
ベッドの上で荒い息を吐き、高熱と吐き気、胃痛を訴え苦しむサラの回りを、トランティア家専属の医師たちが取り囲み、それぞれ顔を青くした。
原因がわからないと、騒ぎ立てる医師たちの声を、混濁とした意識の中でサラは聞く。
現実とも夢ともつかない曖昧な感覚であった。
覚悟を決めてテオが用意してくれた薬を飲んだはずなのに、それでも耐えきれず、何度も助けて、と声をもらす。
サラが涙を流して苦しみを訴えるたび、医師たちはどうしたものかと、ベッドの側でおろおろとするのだ。
「ああ、サラ……」
ベッドの側では、母フェリアが悲痛の声を上げて涙を流し、自分の手を握りしめている。
そんな母の肩に、父、ミストスの手がかけられる。
ミストスは妻を落ち着かせようと、何度も大丈夫を繰り返していた。
この一大事の場に祖母の姿はない。
おそらくこのことは当然、耳には入っているのだろう。
だが、わざわざ様子を見に来る必要などないと思っているのか。
けれど、それはいつものこと。
むしろ、猜疑心の強い祖母がいないほうが、あれこれうるさいことを聞かれず、すんなりとことが運びやすい。
お父様、お母様ごめんなさい。
心の中で両親に謝罪の言葉を述べる。
でも、どうしても会いたい男性(ひと)がいるの。
その人のことが、とても好きなの。
だから、もう一度会って、きちんと私の気持ちを伝えたい。
ベッドの上で荒い息を吐き、高熱と吐き気、胃痛を訴え苦しむサラの回りを、トランティア家専属の医師たちが取り囲み、それぞれ顔を青くした。
原因がわからないと、騒ぎ立てる医師たちの声を、混濁とした意識の中でサラは聞く。
現実とも夢ともつかない曖昧な感覚であった。
覚悟を決めてテオが用意してくれた薬を飲んだはずなのに、それでも耐えきれず、何度も助けて、と声をもらす。
サラが涙を流して苦しみを訴えるたび、医師たちはどうしたものかと、ベッドの側でおろおろとするのだ。
「ああ、サラ……」
ベッドの側では、母フェリアが悲痛の声を上げて涙を流し、自分の手を握りしめている。
そんな母の肩に、父、ミストスの手がかけられる。
ミストスは妻を落ち着かせようと、何度も大丈夫を繰り返していた。
この一大事の場に祖母の姿はない。
おそらくこのことは当然、耳には入っているのだろう。
だが、わざわざ様子を見に来る必要などないと思っているのか。
けれど、それはいつものこと。
むしろ、猜疑心の強い祖母がいないほうが、あれこれうるさいことを聞かれず、すんなりとことが運びやすい。
お父様、お母様ごめんなさい。
心の中で両親に謝罪の言葉を述べる。
でも、どうしても会いたい男性(ひと)がいるの。
その人のことが、とても好きなの。
だから、もう一度会って、きちんと私の気持ちを伝えたい。

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