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いとかなし
第20章 おもいわび さてもいのちは あるものを
一心不乱に啓司の舌に自分のを絡め、時折襲ってくる浅い愉悦に弄ばれる。

口の端からはだらし無く涎が滴り、手首に巻き付いた淡い水色のネクタイの所々を色濃く変えていた。

啓司は糸の後頭部にある結び目を解いた。

突然視界が開けて、見たかった人が現れる。

目尻を溢れおちていく雫を啓司の舌が舐めとる。

「啓司…」

「ん、ごめん…」

ごめんを否定するように糸は首を振り、笑顔を見せた。

まだ四つん這いの糸の背後から手首のネクタイに手を伸ばす。

「け、し…ぁの…ナカの…を…」

今もナカで振動し続けるオモチャ。

手を外してくれるなら、先にオモチャを取り払って欲しい。

「ナカ?ああ…」

さも今気付いたかのように啓司のニヤリと口の端をあげた。
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