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いとかなし
第21章 きみにより おもいならいぬ
ランチタイム、千津子は満足げに微笑んで糸の報告を受けていた。

「そっか、噂をすれば…かな」

Aランチのトレーを持った賢都が近づいてきた。

「私、先行くね」

千津子が気を利かせて立ち上がった。

「…お疲れ様です」

「そんな顔しないで下さいよ」

賢都は口の端をあげて、向かい側に座った。

「…結局、俺は…貴方とあの人の気持ちを強くしただけって事ですよね」

「賢都くん、あの…」

「謝らないで下さい、俺これでも結構切り替え早いんです、俺に靡かない女の人をいつまでも追い掛けてる程ヒマじゃないし、俺にしなかった事後悔しないで下さいよ」

ツンッと横を向いて見せた賢都に、糸はうんと頷いた。
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