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いとかなし
第5章 みをつくしてや   恋ひわたるべき
日曜日は早めに目覚ましをかけたのに、キッチンに降りて肩を落とすことになる。

啓司は二つのお弁当を詰め終わっていたのだ。

着替えをすませると、すぐに出発した。

向かう車中で一つ目のお弁当を開くと、サンドイッチが食べるのも気がひけるくらい可愛く飾られて並んでいた。

運転する啓司にサンドイッチを手渡したり、お茶を手渡したり。

満面の笑みの啓司とは反して、糸の表情は複雑だった。

歩にもこうして色んな事をしてあげた。

喜んでくれていたと、あの笑顔を信じていただけに、今の啓司を信じきれていない。

そんな自分に嫌悪感すら覚える。

小一時間も走ると河原の野球場へと到着した。

すでにタープやバーベキューコンロが設置され、こんなにもというほどの人数が集まっていた。
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