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帝警備淫夢譚
第6章 城田美和、初任務に胸踊る
男性は名乗った。

立っている時は170cmを越えるくらいの身長だと感じた。Yシャツとグレーのズボンという服装に飾り気はない。そのせいか、胸板の厚さが分かる。何かスポーツをやっていたのかしら。とはいえ、特別体格が良いわけではないのだ。
それなのに…大きく見える。

「本日はお時間を頂きありがとうございます」

「コーヒー、熱いから気を付けて」

んー、何か噛み合わない人ね!

「あ、はい…あの、有田から封筒を預かっておりまして、松葉様に中をお見せし、感想を聞いてくるように言われております」

「ああ、分かってるよ。有田から連絡があった」

私は封筒を渡す。部屋に備え付けられていたのだろうか。彼はどこからともなくペーパーナイフを取り出し封を切る。
キングサイズのベッドに深く座り直した松葉さん。重みを受け、弾む。彼はそのまま書類に目を通していく。

「城田さんって…調査員じゃないでしょ?」

「…えっあ、ハイ、経理部所属で、半年前までは銀行で働いておりました」

「だろうね…さっきはゴメンね」

「えーと…」

「調査員だと思ってたからさ、行動がトロいのが気になちゃって」

部屋に素早く入らなかったのは監視を意識していない証。
熱湯であれば凶器になるコーヒーに対する無防備さ。
ペーパーナイフをどこから取り出し、どこに置いたか、注視していなかったこと。

「演技したところで調査員であれば俺は気づくさ」

彼の雰囲気が変わった。
さっきまでの怖そうという印象がは薄れ、優し気な、中年前のお兄さん?に思えてきた。

「それで…君はボイスレコーダーの使い方分かってる?」

「ハイ。一応聞いてきました」

「貸してごらん」
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