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帝警備淫夢譚
第7章 矢上マユ、罠だらけの工場調査
私は内偵に入っている。

場所はI県にあるK製薬の工場。
任務は工場内で製造されているものの調査。
例のゼリー探しだ。

旦那には海外研修ということにしてある。優しいけれど私の動向にはあまり関心がない人だ。互いの自主性を…というタイプ。そういうところが気楽で結婚したんだけど。電話は二日に一度。それで安心できる夫婦関係。

ちなみに、今回の内偵は警備会社の職員として敷地内に入っている。I県地場の小さな警備会社だ。
いつもなら調査対象の企業の職員に化けるのだけど、今回は不可とのことだった。まったく…調査戦術部は何をやってんだか。

偽装なのに警備員。
銀行員やOLや…何か他の仕事が良かったのになぁ。

もう1つ普段と違ったのは、内偵に入る前に局長から話があったことだ。

「危険な任務になるかもしれない。心してかかれ」

ということだった。
基本的に主査の私は課長から命を受けて任務にあたる。しかし、今回は具体的ではないにせよ局長からも訓示があった。
おそらく、局長と課長は今回の工場内偵に自信を持っているんだろう。その分、危険度も高い。そういうことだ。

そういえば、美和も有田局長に呼ばれてたけど…何だったんだろ?
急に内偵がはじまったためロクに話が出来ていない。

そんなことを考えながら工場に入る。

「交代の時間です」

今晩、私は夜間警備の担当。
一応、二人体制なので相方がいる。地元企業を退職されたオジサマ。

ズボンタイプのブルーの制服はお世辞にも可愛いとは言えない。
それを着た私は、懐中電灯を片手にすぐに1度目の巡回を行う。巡回は定刻に行い朝まで3度。オジサマには3度とも私がやると伝えてある。

「そう?申し訳ないねぇ」

オジサマは酷い腰痛持ち。巡回はやりたくないはずだ。

巡回以外の時間は、私もオジサマと一緒に警備員室に詰め防犯カメラに目を通す。

ここに来て、もう二ヶ月。

分かったことは、部外者の立ち入りを許さない部屋が3つあること。つまり、その3部屋を調べれば内偵は一段落だ。
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