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向日葵
第9章 セカンドセックス
 「参ったな…
俺、変なとこプラス思考だから、僅かな期待はしてたんだ。
君が俺を受け入れてくれて、男としてみてくれたら…なんてさ。
ーーでも、後悔はしない。
君とそうなれた事にね。
無駄な事なんてない。
試してみなきゃ、分からなかったし、諦めもつけられないだろ?
君にしがみついて、女々しく自分の主張を振りかざす惨めな男になる前に退散するよ。
明日からは、今までと変わらない仕事仲間で宜しくね…
一瞬でも、君の名前を呼び、そうなれた事、いい思い出にしなきゃね。
 立つ鳥跡を濁さず……かな」

 「……ごめんなさい」

 白石は紅茶をもう一口飲み、「じゃあね、明日からはお互い、気持ちの整理を少しずつつけて、今日よりも格好良くなろうな!」と懸命な笑顔を作る。

 こんな私を好きだと言ってくれて優しさまで与えてくれた異性。
あなたと恋が出来る性の元に生まれていたら、幸せだったんだろうな……
 葉月に向ける愛をあなたに向けられたら、幸せになれるのに…




 「はい」

 ちゃんと返事をして言い切る。
私も最期に女の意地を見せます。
敢えて楽ではない道を選んだのなら、甘えたりしない。

 貴方を好きになっても、それは恋とか愛ではなく、人として、尊敬の念を抱く感情しか持てない。

 私の性は、残念ながら生涯変わる事はないだろう…

 それでも貴方は……十分格好良い。
偽りの気持ちを抱いたままで、貴方に寄り添って楽になりたいだけの醜い女にはなれない。

 弱った時にだけ、もの欲しそうに涙を流す弱い女にも決別する。

 ーーそうしなきゃーー
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