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向日葵
第12章 ラストラブレター
 塾のバイトが終わると、コンビニに寄り、お弁当の袋をぶら下げて帰るのが当り前となった日々を送っていた。

 葉月にそんな日常を知られたら、ヤレヤレと呆れ顔を見せただろう。

 恋が続いていたのなら、世話を焼きにやって来て、次々と物珍しい料理を食卓に置き、ドヤ顔で腕をふるまう事だろう。

 そんな事を思うと、切なく虚しい反面、貴女への変わらぬ愛が心に広がり、温かくもなれた。

 部屋に戻り、明かりを点けて、蛇口を捻って手を洗ってから、やかんに勢いよく水を注いだ。
やかんに火をかけ、茶葉を選ぶ。
アールグレイをついつい選んでしまうのは、貴女との優しい思い出に慕う為の魔法なんだよ。

 ティーポットから漂う香りと共に、その日々を蘇らせていた。
バッグからラブレターを取り出し、丁寧に封を開く。

 あの夏の海の色に似た便箋に貴女の文字がしたためられていた。

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