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向日葵
第6章 逞しく生きる、女豹
「すみれ! ちょっと待ちなさいよ!」

 待つわけないじゃない。
あなたの顔なんて、一分一秒たりとも見ていたくない。
あなたが私を傷つけなければ、祝福出来たお話よ?

 それでも……  
あなたは好きな人を手に入れたじゃない。
あなたは醜いけど幸せな女なのよ!

 「待てって、言ってんだろーが!」
 背後から煩いほど怒鳴る梨花。

 背を向けたまま、私も叫んだ。

 「私はあなたが嫌いなの!
もう、二度と顔も見たくない程ね!」

 店内は静まり返る。

 私はひたすら前を向いて歩いた。
人生には、瞬間湯沸し器の様に噴き出てしまう程、怒りを顕に現す時もあるもんだと思った。

 正念が腐った女は、自分の幸せになった姿を見せつけ、嫌味を言う事くらいしか思いつかないのだろうか?


 「私もあんたなんか大嫌いだ!
気持ち悪いレズビアンがヤキモチ妬いてんじゃねーよ!」


 全く、恥ずかしい女だ。
私はビアンである事を恥じたりしない。
自分に与えられた性が一般的に理解されにくいだけの話。
それに、梨花にヤキモチなんて妬いてない。
正論をぶつけただけ。
吠えるなら吠えなさい!
そして、私と再び出会ってしまった事を後悔しなさい。
二度と私の顔なんて見たくない程、とことん憎みなさい。


 『女豹は女豹。
サバイバルでは上品さまで養えなかった』

 無視して会計を済ませ店を後にした。

 胸糞悪いけど、『永遠にさようなら!』

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