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続「辿り着く 先には」
第1章 『絶対』
白い肌に赤い花を咲かせる。打ち付ける手のひらによって、大きく大輪の花が重なって咲いた。絢音の美しい白い背中には次々と、花が咲いては消えて聖の要り混ざる感情を表しているかのようだった。悲しみと苦しみという花が開いては散る。

今、この手に感じる自分への痛みも生きているのだと実感できるただ一瞬の時だったからだ。それを分からせてくれる絢音に愛が沸かない筈がない。だが、それと同時に魔王の残忍な気持ちが現れるのも同時であった。

狂惜しいほどに、愛を持ちながらも憎んではいた。常に側にいることの出来ない女達の移ろう感情に。愛を囁き、愛を貰うのに、自分を捨てていなくなることに。

何度も何度も身体を痺れさせて、達する絢音の背中を見つめながらそんな辛さを抱えた。一度、その手を止めて。背中から抱きつき首筋に唇を寄せて吸い上げる。

痛むほどに吸い付いて紅の刻印は、はっきりと魔王の存在を示した。耳元で囁くこ言葉はまるで呪文だ。

「愛してる、絢音。ずっと、側に・・・」

心の内に何があるのだろうと考える事も出来ないほど体中が聖の言葉に酔い、魔王だけを望んだ。今は何一つ感情の想いは沸くことは無かった。欲しかった愛を魔王は、くれてしまったのだ。誰にもできなかった飢えるほどの哀しみと痛みを一瞬で消し去ってしまった魔王に、どうやって立ち向かうすら忘れてしまったのであった。

ゆっくりと朝は開ける。二人の切なさと愛がそこに漂い、先行く不安をかき消すように光は部屋中を満たした。
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