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続「辿り着く 先には」
第5章 『遠隔』
電話を切った後で、聖の方はベッドに横たわったまま思い出していた。息遣いと声を・・・女達の声を聞くと、自分が生きていられるような気がした。辛い鬱病の中で一番の現実を貰える時だったからだ。自分の全てが必要とされている事によって、現実に心を繋いでいられる。

想いが強ければ強いほどそれを感じた。愛に飢えて、深い愛を持った絢音ならば、今までの誰よりも自分を現実に繋ぎ止めてくれるだろうと思った。

目を閉じることが怖かった、常に闇はそこにあり深い場所に自分を引きづりこもうとしている。それは、本当は自分が連れてくる闇だとは知らずに闇を恐れた。鬱病の恐ろしさだった。自分自身の心と体がバラバラにされてしまった感覚なのだから・・・病院では心が風邪を引いたようなものだよと言われた。そんな軽いものではないと言うのに。

「風邪ならいつ、治る言うんや?絢音、いつまでも僕を繋ぎ止めて。早く側に来て、抱き締めて。」呟きは闇だけが聞くこととなった。



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