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続「辿り着く 先には」
第7章 『征服』
食事はゆっくりと終わった。後片付けをしている最中に、うたた寝をしていた聖。この間に、片付けをしてしまいたかった絢音は、畳んであげた洋服などをしまう為にクローゼットを開ける。いつも、触れられてばかりいてこんなことをする時間がなかったからだった。洋服を閉まっていた手が途中で止まる。段ボールの箱が少しだけ開いていた。閉めてあげようとそう思って手が固まる。

見てはいけないと、反射的に自分の心が警戒した。しかし、体はその出ているものを引っ張ってしまう。中から出たものは聖のものでは当然、無いものだった。どう見ても女物のルーム ウェアーだった。手が震え、心の中が冷たくなっていくような気がしてならない。怒りに震えないように、一度だけ深呼吸をする。

かなり、前の物なのかもしれないと自分に言い聞かせる。どうしていいか分からず、立ったまま固まってしまっていたら寝返りをうった音が聞こえて慌ててそれを元に戻して続きの洋服をしまいその扉を閉めた。

怒りに心は震えていたが、それを叫べば今の淡い時は消える。今まではそうしてきたが、聖にはそれが出来なかった。今すぐにでも問いただして何故あんなものがあるのかを聞きたかった。やはり、愛してると囁きながら別の女を此処に出入りさせているのだろうかとも。

自分が来る前は、そんな事は始終だったようだ。悪びれもなく過去を話す事に、途中から腹を立てるのが馬鹿馬鹿しくなるほどだったのだから。今はまだ、黙っておこうとそう決めて聖の元に戻った。

夏と言えど、少しばかりひんやりとしてきた。そっと薄いタオルケットを掛けてあげようとして、腕を引かれ抱き寄せられる。驚きながらもその、胸の中に引き寄せられて気持ちがどうしていいかと悩んでいた。

「起きてたの・・・?」
「今の気配で目が覚めた。絢音はいい香りがするから分かる。」髪を撫でられると、自分が猫になった気持ちになる。普段、女の人にでも誰にでも関係なく、頭に触れられるのはかなり苦手だった。愛してる者でしか、その行為は受け付けられないようだった。

「ご飯、美味しかった?」
「ああ、とっても。ほんまに、料理が上手くてええ。前の女達の中に、何を誉めてやっていいかと探しても本当にまずいものしか出えへん時は困ったわ。」
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