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続「辿り着く 先には」
第7章 『征服』
心にも、その波紋が落ちて広がる気がして涙を堪えた。痛む気持ちを押し込めて、ただ抱かれていたかった。優しく優しく、頭を撫でられてまるで小さな子供に戻ってしまう気がしてならなかった。

「いつも、泣いてたなぁ。最初の電話の時も・・・」
小さく呟く声によって、抱き締めていた手を緩められる。顔を見つめられて、瞳をそらしてしまいたかった。
「泣かんで、僕も悲しくなるから・・・笑ってた方が絢音は可愛ええよ。」そっと、抱き寄せられ髪の上から優しい口付けをくれる。

厳しく躾をされるのに、いつもいつも終わったあとは、それまでが嘘だったように優しくされる。心と体が切り離されて、バラバラにされて何度も何度も作り替えられる気がしてしまうのはそのせいだった。愛と痛みが体を蝕む気がする。それが怖くて、絢音も強く、強く抱き締めた。

欲しかった激しい激情の愛をこんなに、くれた人はいなかった。愛して愛して、離れられないことを絢音が一番、分かっていたのだ。どうしていいかなど、もう考えるのは止めた。今のこの心にある気持ちが自分の想いだとそうもうとっくに知っていたのだから。

手に入らなくても、今は此処にいる。聖の腕の中に・・・それを感じないわけがなかった。

暗闇は再び、二人を包み、夜は長く始まったばかりだった。絢音の心を包み込むものともなった闇が、今だけは優しく感じる。ふけてゆく、夜の長い始まりだった。
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