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びっちカノジョ 【2期目】
第12章 Scene.11
 
「…どうしたんだ?」

「………いや………」

 気のせい…じゃない。

 扉の隙間から僅かに覗いたピンク色の髪。

「何をニヤニヤしてんだよ」

「気にするなって」

 此処に居るのは分かってた。

 チラッと壁際に目をやれば、体の輪郭をぼやかせたヤツ。

 陰も薄く、よく目を凝らさなければ認識されない、不可思議な存在のヤツ。

「おい…まさか………お前までこの匂いに………」

 慌ててケツを押さえて身構えるな。

「そんな気ねぇよっ」

 思わず怒鳴ってしまった。

「だ、だったら良いけどよぉ………」

 だったらケツから手を退けろ。

 警戒しまくってんじゃねぇか。

「で、続きだけどな………」

 座り直した相手に言葉を吐き出す。

 その際に、壁際に居るヤツに目配せをすれば、ソイツは体を更にぼやかせて消えた。

「お、おう………」

「まだ警戒してんのかよ………。オレにそっちの気はねぇっての」
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