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明治鬼恋慕
第9章 紅粉屋

痛みがあるが、それより買ったばかりの着物に土が付いたのが悔しくて反射的に立ち上がる。

しまったなぁと頭を掻いて恐る恐る上を見ると…

眉間にシワを寄せたリュウの顔が覗いていた。


「焔来…」

「怒るなよ。わかってるよ、言わなくても」


余所見していた自分が悪い。
言われなくてもわかっている。

ささくれ立った板塀に背を預ける焔来は、どうにか説教を食らう前にリュウの所まで戻れないかを思案する。


「そこから屋根には上れないよ。いいよ、僕も下りるから」

「わかっ、た…」


しかし上れるような場所は見当たらなかった。

これはもう…リュウが下りてきたら素直に謝るしかないと、唇を尖らせながらも焔来は心に決めた。









「──…何者だ! そこに隠れているのは」


「……っ」





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