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明治鬼恋慕
第9章 紅粉屋


「なんだ貴様ら、どこから入った?」


リュウが板塀の縁を使って飛び下りようとした時、焔来の横に数人の男たちが現れた。

小袖に袴( ハカマ )姿の彼等は、腰に刀をさげている。


「屋根の上から侵入したのか…目的は盗みだな!?」

「そこのお前も大人しく下りてこい!」


山で会った破落戸( ゴロツキ )たちとはまるで違う。

侍でもない。この口ぶりはおそらく、この邸宅の用心棒だろう。

冷静になって今の状況を見れば焔来は立派な侵入者。

攻撃的に詰め寄ってくるので思わず警戒したものの「鬼」ばれをしているわけではないようだ。


「ここへ来い!」

「そー言われてもなぁ…」


村育ちの焔来からすれば、家の敷地に入ったからといって何故そこまで咎められるのか謎である。


“ なんか…無茶苦茶、険悪だな ”


とんずらするべきか?

焔来は迷って、屋根上のリュウに目線を送った。


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