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明治鬼恋慕
第11章 夜叉


──


二人きりに戻った部屋──。

又左衛門の手が着物を引っ張り、うつぶせの焔来の肩が露になる。


又左衛門が命じた『ふのり』とは、もっぱら洗い張りに使う物で、どの家でも作り置きされている。

…しかし手近な潤滑油でもあるそれには、別の使い道も存在した。

それをこの男は自身の欲を満たすために利用しようとしている…。


「どのみち三日後迄の命ならば…、私の好きにさせてもらうぞ。焔来とやら」

「……ハァ…!! ぅ゛……ぁ…ぁ…」

「鬼と繋がるのは初めて故、どれほどの具合か楽しみだぞ……クク」


気味の悪い含み笑い。

依然として悪夢と戦う焔来から、両手を使って着物を剥ぎ取っていく。

男にしては線の細い…けれどリュウよりも逞しい、そんな焔来の背中が男の前に晒された。


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