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明治鬼恋慕
第11章 夜叉

狂骸湯を飲まされた鬼は、こうして悪夢に苦しみ続ける。

その期間は──三日三晩。

そして神経を擦りきらし、意識までも蝕まれた果てに呼吸が止まる。


「…残酷な毒よの」


まさに鬼殺し。

狂骸湯と聞いただけでリュウが激しく動揺したのも無理なかったのだ。



「自ら飲むことを選んだ…──自分自身を恨むことだな。…それにしても」

「……ハァっハァっ……─ク、……ッ…ぁ……!!」

「貴重な鬼をこのように売り物にならぬ様にしてしまったのは、甚だ口惜しい」


又左衛門の手が焔来の着物に伸びる──。


ちょうどその時、背後の障子が開かれて下働きの男が入ってきた。

焔来に狂骸湯を運んできた男と同じだった。


「…あのぅ、お呼びでしょうか旦那様」

「やっと来たか。洗い場へ行き、小鉢にふのりを持ってこい」

「ふのり…で御座いますか? いったい何用で…」

「……」

「あ…っ、いえ、ただいま」


主と、その横の焔来の姿を目にいれて

状況を察した下働きの男はぺこぺこと頭を下げながら急いで部屋を後にした。


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