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明治鬼恋慕
第13章 迎撃

お鶴なんて女…お目にかかったこともない。

それでもリュウは、無学で姉思いな、健気な少年を男の前で演じ続けた。


「あの…通ってよろしいでしょうか? 急がなければ、家はここから遠いのです」

「待て、行かせぬ」


しかし番男はなかなかリュウを帰そうとしない。


冬だというのにじっとりと汗を浮かべ、白い肌を上気させて気怠げに見上げてくる少年は

それはそれは…妖艶で、花魁( オイラン )顔負けの色気であった。

男は本物の鬼など見たことないが

この少年が人ではないと知らされようと、そこに不思議さは全くない。


「…っ…軍部の者に知らせねば」


男は六尺棒でリュウの前方をふさぎ、見張り台の上から引き寄せた。



──しかし



ガツッ!



「ぐあ!!」



背後から横腹を殴られ、台の上から転げ落ちる。



「こっちだリュウ!」



倒れた番男の代わりに立っていたのは、刀の鞘を両手で握った焔来だ。

呻く男が起き上がる前に、焔来とリュウは花街の門を走り抜けた。


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