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明治鬼恋慕
第14章 決別

朝からずっと働きづめだったことがわかる。隣の父は少しくたびれた様子で、日暮れの田んぼを前に目を細めている。

「お前も遊んでばかりいないで、母さんを手伝ったらどうなんだ」

そして焔来の背を叩いてきた。

軽くつまずきながら数歩飛び出した焔来は、知らぬ間に子供の姿に戻っている自分に気付いた。

空を掴むように上げた腕は、ずいぶん短い。

それに比べて父の腕はがっしりとしていて逞しかった。


「……父さん」


焔来は神妙な顔付きで父を見上げる。



「…どうした?」


「俺はずっと知らなかったよ。父さんが人間だったってこと」


「……」


「俺が…夜叉だってことをさ」



非難の想いを込めて焔来が口を開けば

父が顔を下げて、やっと二人の視線が合わさる。


ちょうどその時、田んぼに立つ母がこちらに目を向けた。


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