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明治鬼恋慕
第14章 決別

焔来たちに向かって母が手を挙げて合図する。

こちら側も何か反応をするべきで、二人は遠くの彼女に手を振り返した。


「…黙っていてすまなかったな」


笑顔で手を振る父親。

けれど、焔来に向けるその声は落ち着いていた。


「いつ気付いたんだ?」

「…父さんたちと別れてひとりになった後。俺は本当の " 鬼 " に会ったんだ。そいつと一緒に何年も暮らしていくうちに──自分は何かがオカシイって、少しずつわかってきた」

「……」

「俺は人間じゃない。でも…人間に、似てるなって」

「そうか…」



なにが「そうか」だよ。
ふざけんなよ。

焔来の悪態は口から飛び出す直前だった。

言いたいことも聞きたいことも山ほどあるのに、妙に堂々と構えた父の態度がそれをさせない。


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