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明治鬼恋慕
第5章 出立


もう逃げられるのを恐れる心配はない。

自分はすでに焔来の深いところまで知ってしまったんだ。


「わたし、焔来に…ちゃんと聞かなきゃ…」


たとえ本当に彼の正体が鬼でも

今までの焔来がいなくなったわけじゃない。

今までにくれた優しさが消えたわけじゃない。


彼がどんな目的でわたしと一緒にいたのか

「逃げずに聞かないと、駄目よね…!」

泣いてばかりの自分では駄目だ。


恋に落ちたのは自分の心。

この気持ちを今度こそ、ぶつけないと。


千代は帰路を引き返し、村の外れにある焔来の家へと走った。








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