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聖杏学園シリーズ ー囚われの少女達ー
第13章 地下アイドルの秘密 編 1-1
母が再婚した相手、新しい父親となった人は最近特にいやらしい視線を遠慮なく
私に向けて来るようになっていた。いや、視線だけではない。この間は、着替え
ようとランジェリーだけになったタイミングで、部屋のドアがノックされ、待っ
てと言っているのに部屋に入ってこられてしまった。
小さく叫び、腕で身体を隠す様にして縮こまっている私に、何でもない事の様に
話し掛ける。
「親子なんだから気にせず着替えなさい。それよりも・・・」
このタイミングでなくてもいい話をあれこれと話ながら、視線は私の身体中を
這い回っている。
「あ、あの・・・着替えているから、あの、後でも・・・」
母は出かけている。使用人の人達が父を止めてくれるとは思えなかった。初めて
危険を感じて手が震えだした。
「どうした?早く服を着なさい」
ジリジリと少しずつ近付いて来る父から逃げる様に後ろに下がっても、すぐに壁
に背中が付いてしまった。
「あっ・・・だめ・・・」
目を閉じ顔を背けた。すぐ近くまで来ている気配を感じ、身体中に力が入る。
「私は舞風の事を本当の娘の様に思っているよ。可愛くて仕方がないんだ・・・
そんなランジェリーが好みなんだね。他にも欲しくなったらなんでも買ってあげ
るから遠慮せずに言いなさい」
返事が出来ずに私は震えていた。
「いいね・・・」と気持ち悪いくらい優しい声が耳元でして、ゾクッと肩をすく
めた。
す、すぐ近くで見られてる・・・怖い・・・
返事の代わりに何度も小さく頷き返すと、髪を一度撫でられる。
「いい子だ。どんなランジェリーでも買ってあげるからね」
そう言った後、離れていく気配がしてドアが閉められる音がした。
ヘナヘナとその場に崩れて座り込んだ私は、暫く動けなかった。
怖い・・・抵抗なんてできないよ・・・
二の腕には鳥肌が立ち、寒気がとれない。ゾクッとしてしまった感触がまだ身体に
残っている様だった。


「舞風。これをしっかりと読んで、覚えたらシュレッダーして廃棄だ。いいな?」
マネージャーの言葉に我に返った。思い返しただけで手に嫌な汗をかいてしまって
いる。
いけない・・・集中しなくちゃ・・・
「どうした?気が進まないなら別のメンバーに・・・」
「いえ!私に・・・私が行きます。頑張ります」
心配そうな表情のマネージャーに笑顔で応えた。
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