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聖杏学園シリーズ ー囚われの少女達ー
第13章 地下アイドルの秘密 編 1-1
不意に顎から指の感触が消えた。分けが分からず目を開けた私に遠藤さんが言った。
「踊るのが楽しくてたまらない、って気持ちが伝わってくる良いダンスだったな」
「えっ?」
すぐにでもキスされそうなくらいに顔の距離が近い。でも優しそうな柔らかい笑顔のせいで圧迫感は感じなかった。
「だから、つい見惚れてしまっていたんだ。驚いたか?」
「は、はい・・・凄くびっくりしました・・・ふふっ」
正直に答えながら、つい照れくさくて笑ってしまった。それぐらい遠藤さんの笑顔は魅力的で引き込まれてしまいそうだった。
「バランスのとれた良いプロポーションをしているな。ハーフなのか?」
「違います。ハーフじゃありません」
少し余裕が出てきた私は、遠藤さんの笑顔に負けまいとしてそれなりに自信のある笑顔を作った。が、逆に遠藤さんの笑顔が消えていく。
「その営業用の笑顔は止めた方が良いな。これまでに指摘されたことがあるんじゃないか?もっと自然な笑顔が出せる様に練習した方が良い。たとえば・・・」
遠藤さんは私から離れていき、部屋の隅に置いてあるラジカセにCDを入れている。

そう言われて、以前抱かれた審査委員長の尾崎さんにも同じ事を言われたことを思い出して、私はショックだった。
そんなに私の笑顔って不自然なの?・・・
人には言わなくても、自分としては容姿には多少なりとも自信はあった。
街を歩けば振り向かれたり、綺麗と言われているのが聞こえたりすることは珍しくは無かった。自惚れてはいないけれど、自分の中では満足していた。
魅力的な笑顔だと思っていたのに・・・

「たとえば・・・さっき踊っていた時の笑顔、あれは魅力的だった。十分に人を引き
付ける良い笑顔だよ。さあ、自由に踊ってそれをもう一度見せてくれ」
遠藤さんがスイッチを押した。流れてきた曲は私達のセカンドシングルだった。
レッスンしてもらえるんだ!・・・
嬉しさで軽い興奮を感じながら挨拶をした。
「宜しくお願いします!」
すぐに曲に合わせて自由に踊ってみる。自分なりに考えてあった振りも、その場で思いついた振りも、両方を混ぜて自由に踊る。もともと乗りやすい曲に、レッスンしてもらえる嬉しさを乗せて、私の気持ちは踊れば踊るほど、どんどん楽しくなっていった。
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