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小鳥遊医局長の憂鬱
第10章 Honeymoon
「いく…い…。」

拍動するように収縮を繰り返す膣壁の間にまるでしっかりと掴まれているようだった。

「トーコ…そんなに締め付けたら…僕だって…。」

ほぼ強制的に淫靡なまどろみの中へと引きずり込まれた冬の身体は、熱く火照り、快感の余韻が小鳥遊を狂わせた。

「ああ…なんて…気持が…良いんだ…。あ…出そうだ…我慢したいのに…いくよ…トーコ…一緒に…。」

息もつけないほど抱きしめられて、甘く大きな波が再び冬を襲った。

「あぁん!いく…いく…ぁぁぁ。」

「いっ…く…トーコ!」

声を殺すことなど到底できず、ふたりとも大きな声で喘いでいた。冬の中で熱い拍動を数回繰り返すと、ふたりは荒い息のままで繋がっていた。

肩からゆっくりと足を下すと、狭いリクライニング・チェアーの中で長い間、ふたりとも動けずに抱き合っていた。ドキドキとふたりの心臓の音が重なるように響き合って混じり、それがどちらのものなのかも分からなかった。

「トーコ…さん?」

湿気を含んだ海風が、汗を掻いたふたりの身体を優しく包んでいた。

「ガクさん…の馬鹿…動けない。暫くこうしていて。」

冬は小鳥遊の広い胸に頭を預けた。小鳥遊は静かに波の音を聞いていた。気が付くと冬は寝息を立てていた。

「トーコさん…あなたって人は…。」

小鳥遊は冬を胸の上に乗せたまま、ゆっくりと起き上がると、横抱きにして部屋のベッドに静かに寝かせた。

「あなたをどれだけ愛しても、僕は愛し足りません。」

部屋の冷房で少し冷えたその身体にブランケットをそっと掛けながら幸せそうに眠る冬に優しいキスをして、小鳥遊はずっと眺めていた。



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