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小鳥遊医局長の憂鬱
第3章 スクラブが消えた日
「それがですね…今泉麻酔科医局長からちゃんと説明をして許可を頂いてるんですよ。」

冬は残念そうに告げると、呆然とする小鳥遊をスタッフは楽しそうに眺めていた。

「一日履きますから、私はストッキングよりガーターをお勧めします。蒸れなくて良いですからね。」

冬はどこから手に入れたのか、男性用の白いガーター・ベルトを持っていた。医者達からは、おーっすげーと声があがった。研修医までが楽しそうに眺め、写真を撮っていた。

「はいはいじゃあ先生方は、ちょっと外で待ってて下さいね。あ…高橋先生だけは残ってね。でもガーター履かせるからちょっと後ろ向いてて下さい。」

医者達がワイワイ言いながら医局を出て行き、扉が閉まるのを確認してから、冬は小鳥遊のワイシャツを脱がし始めた。

「良いですよっ!今日はスクラブ着ま…す…から。」

小鳥遊は周りを見渡したが、いつも予備で山積みにされているスクラブが見当たらなかった。慌てて、ランニングシャツのままで、どの医者のロッカーも開けて見たが、普段なら誰もが予備で置いてある筈のスクラブが消えていた。

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