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小鳥遊医局長の憂鬱
第7章 仕返し
――― 週明け。

いつもと変りなく仕事は進んだが、ICUの看護師が病棟へやって来た。

「あれ?今日は、病棟にあがって来る患者は居なかったわよね?」

冬が病棟スケジュールを見ながら言った。寒くなってきて、ベッドは、満床で他の科の病棟に脳外の患者をお願いしているぐらいだったので、冬は何か予定を忘れていたのかと焦った。

「患者のことではありません。」

ICUの高鍋と浜田が冬を廊下の隅へと呼び出した。

「先週は酷いことを言って申し訳ありませんでした。」「今まで、意地悪なことを言ってきたことを忘れて下さいなんて都合が良い事かも知れませんけれど、すみませんでした。」

ふたりとも口々に言い、冬に頭をさげた。

「あなた達…言ってることがさっぱり分からないんだけど?」

ふたりとも顔を見合わせ、再び冬に頭を下げた。

「本当に…ごめんなさい。」

確かに今までに、今泉の事でこの二人には目を付けられているとは思っていたし、嫌味も言われたが冬は全く気にしていなかった。

「良いわよ…全然気にしてないから。そんなことでICUを抜け出してきたの?仕事中でしょう?早く帰りなさい。」

冬は呆れた。

「はい…。」

ふたりは慌ててICUへと戻っていった。冬がナースステーションへ戻ると、小鳥遊が笑いを堪えていた。

「何ですか?何も可笑しい事なんてありませんけど?」

冬が白板に明日の予定検査を書きながら、ぶっきらぼうに小鳥遊に言った。

「いえ…別に…。」

小鳥遊は冬に睨まれて、一瞬神妙な顔つきになったものの、PCを見ながらまた笑っていた。

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