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裸の傑作
第9章 性と生
「妊娠5ヶ月なんですって?大変じゃないの?」


「いいえ、安定期に入ったので大丈夫なんです」


アヤは、しの子の膨らんだお腹を見下ろしている。


「この部屋暑いわね、あっ、しの子さんのためか」


アヤはカーディガンを脱いだ。


秋の深まってくるこの季節、外ではひんやりした風が吹いている。


しの子は、ソファの上に裸でポーズを取っている。


龍次郎はいつものように、食い入るように彼女の姿を見つめ絵と格闘している。


そのとき、アトリエの扉が開き、わずかに冷たい外気が部屋に入り込んだ。


「ミルクティ、買ってきたよ」


薫はミルクティの缶を開け、しの子に渡した。


「ありがとう」


しの子は薫ににっこり微笑む。


「あら、誰かさんと違って、至れりつくせりのいい彼氏だね」


アヤが笑うと、龍次郎も苦笑いした。


「しのちゃん、薫君。こっち見て」


アヤはシャッターを切った。


「二人とも、すごくいい顔」


しの子と薫は顔を見合わせ、思春期の少年少女のようにはにかんだ。
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