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あなたが教えてくれたこと
第7章 7
『私は本当に、何をしてるのだろう』

落ちない汚れを伸ばすように拭きながら、虚しくなる。
夫の言う通り、自分には智哉を立派に育てる義務がある。それなのに息子の家庭教師と快楽の肉欲に溺れている。
彼との未来など、想像もしていない。
夫も浮気している、という考えは慰めにもならなかった。
相手が不誠実を働いてるからといって、自分まで怠惰な暮らしをしていいということにはならない。そんな言い訳が通用するのは子供だけだ。

愛されてるという実感がなくとも、愛してるという気持ちなどなくても、目の前にいるこの人たちが私の家族なんだ。

浮ついた自分を戒めるようにそっと唇を噛んでいた。


『もう二人きりで逢うのはやめましょう』
心の中で何度も反芻した言葉を喉元に構えて彼の部屋の前に立つ。
ドアはすぐに開き、目の前に遼平の笑顔が現れた。
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