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あなたが教えてくれたこと
第9章 9
息子の心を苦しめてしまっていたことに、罪悪感を覚えた。
母を想う優しい気持ちが嬉しくもあり、苦しくもあった。

「ごめんね、智哉」

紫遠は十一歳のその身体を抱き締めた。

「お母さんは、あなたさえいたら、それだけで幸せなの……智哉が元気で素直に育ってくれている。それがお母さんの幸せよ」

久し振りに抱き締めるその身体は、記憶の中の息子より遙かに逞しかった。

「お母さん……」
「ありがとう、智哉……」

揺らいでいた気持ちが、固まった。
自分の幸せがなんなのか、はっきりと見えた気がしていた。

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