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女医の診察日誌
第10章 看護師長の涙
「違うのだよ、その車のナンバーを、君の誕生日にしようかと
思って聞いたのだよ」

「まぁそうだったの、でも気を使わなくて、貴男の好きな番号
で良いのよ」

「理恵の誕生日の付いた車だと、君に会えない時でも、車に
乗って居れば、理恵が傍にいるような気になると思ってね」

「そうだったの、私の誕生日は十二月十三日なのよ」

「有難う、ではプレートは“12・13”で決まりだね」

 勇次の車が前回利用した、ラブホテルの門をくぐった。

「理恵、前に使った、鏡の部屋に入ろうか?」

「いいわよ、あの部屋で」

「これはシートの下に置いとくよ、ありがとう」

 勇次は、理恵から助手席に置かれた、札束の入った

紙包みをシートの下に隠して、ロックしてから彼女の

腰に手を廻して階段を上がって行った。
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